株式会社ノア リーディング


■ Q & A


カーリングプローブについてのよくある質問



Q1

 カーリングプローブ(CP)が一部破損した場合は一式買い替えでしょうか?

A・

 破損状況をみての判断になります。部分修理可能です。

Q2

 ネットワークアナライザー(NWA)は所有しているので、それ以外の一式だけを購入することはできますか?

A・

 基本的にはパーツごとの別売可能です(CPの導入管のみ販売の実績あり)。ただし、弊社から販売する NWAに
 は「データ解析用ソフト」をインストールしてあり、電子密度を自動的に算出して表示するので便利です。

Q3

 CPの導入管・ヘッド部の材質は指定出来ますか?

A・

 ステンレス(SUS304)以外ではアルミニウム(A5052)で製作し、アルマイトメッキ・封孔処理や、アルミ
 ナコーティング処理の実績がありますのでご相談ください。

Q4

 日本国内で購入後、海外での使用は可能ですか?

A・

 使用国がWA(ワッセナーアレンジメント=新ココム)に加盟していれば問題ありません。

Q5

 最も古典的なプラズマ診断技術である探針法(ラングミュアプローブ法)として、シングルプローブ法・ダブル
 プローブ法・トリプルプローブ法が知られていますが、その中でRF放電で有効な方法はどれでしょうか?

A・

 探針法は直流電源用に開発されたシングル(単針針)が最初です。RF放電ではプラズマ電位がRFで振動してい
 る(基準電位が揺らいでいる)ため、そのままでは使えません。このRF雑音を除くために、プローブの先端に
 適切なフィルター(濾波器)を付ければ測定可能となります。ダブルプローブを用いれば、フィルター無しでも
 RFプラズマの測定が可能な場合もありますが、RF誘導信号のために精度の良い測定は困難です。トリプルプロ
 ーブは直流放電でも、あまり使用されないのと、高周波放電ではシングルプローブと同じ問題があります。
 一方、カーリングプローブは高周波(RF)放電でも問題なく使えます。一般にはRF放電ではプラズマ電位が
 RFで振動するので、それが測定に悪影響を与える事が心配されます。
 RF放電には誘導結合型高周波放電(ICP)と容量結合型高周波放電(CCP)があります。前者のICP の場合は、
 RF 振動が小さいので問題なく測定出来ます。しかし、ICPでも基板にRFバイアスを加えた時やCCPでは、プラ
 ズマ電位が大きく振動するので、それがネートワークアナライザーに入って、これを破壊する恐れがあります。
 これを防止するために、必ず保護回路を入れて下さい。例えば、Agilent(現Keysight)社のパワーリミッター 
 (N9355C など)がお勧めです。
 その他適当なバイパスフィルターを入れることも可能でしょう。
  

 
 

Q6

 カーリングプローブは常にシングルで使用でしょうか?

A・

 プラズマの電子密度だけであれば 1 本のカーリングプローブで十分です。更に電子温度も測定したい時はもう1
 本の異なるサイズのカーリングプローブが必要になります。その方法の詳細は下記の論文を参照ください。
 K.Nakamura,M.Ohta,and H.Sugai:J.Vac.Sci.Technol. A21(2003)325然し、測定精度はあまり高くなく、
 実績も少ないのが実情です。
 

Q7

 ラングミュアープローブで計測可能なプラズマパラメーターと、カーリングプローブで計測可能なパラメーター は同じでしょうか?

A・

 プラズマ密度(通常電子密度と同じ)の測定範囲は、両プローブ共ほぼ同じで1cc あたり、10 の 9乗から12乗
 個です。ラングミュアープローブの場合、電子温度を測定してら、その値を使ってプラズマ密度を算出します。
 なお、電子温度の測定範囲は0.2〜10eV程度です。カーリングプローブは電子温度を測定することなく、直接
 プラズマ密度を測れます。異径サイズのプローブを2本使えばラングミュアープローブと同程度の測定範囲の電
 子温度を測れます(前出Q6参照)。
 

Q8

 パルス放電やパワー変調によってプラズマ密度が時間的に変化しているときこれを時間分解して測定出来ます
 か?

A・

 密度が時間的に一定な場合は、簡便なネットワークアナライザー(NWA)で即座に測定出来ます。
 パルス放電やパワー変調によって、ある周波数で周期的に変化する場合、外部トリガー出来る高性能のNWAを
 使用すれば、任意の時刻の電子密度を測定する事が出来ます。その方法の詳細は下記論文を参照下さい。
 A.Pandy,W.Sakakibara,H.Mathuoka,K.Nakamura,and H.Sugai:Appl.Phys.Lett.104(2014)024111
 この論文ではまだ400Hzの低い周波数のパルス放電の例が記載されているだけですが、最近の研究ではNWAの
 on-Point法により、10kHzのパルス放電でも測定できます。
 

Q9

 カーリングプローブは、プラズマ計測法の分類上、どれに当てはまるのでしょうか?

A・

 プラズマ・核融合学会では、プローブ測定・マイクロ波計測・レーザー計測・分光計測・粒子計測の五つの計測
 法に分類されてます。カーリングプローブはマイクロ波計測になります。
 さらに、マイクロ波計測は吸収法・干渉法・サイクロトロン放射の三つに細分されています。
 しかし、カーリングプローブは新しい方式であり、第四番目として"共振法"という新項目を設けるべきだと思わ
 れます。
 

Q10

 ラングミュアープローブとカーリングプローブの違いは何でしょうか?

A・

 測定技術としての最も大きな違いは、ラングミュアプローブが直流に対するプラズマの応答を調べるのに対し
 て、カーリングプローブはマイクロ波に対するプラズマ応答を調べ、プラズマの情報を導き出す点にあります。
 この違いから、測定子であるプローブに絶縁膜が付着した場合、ラングミュアープローブには電流が流れなくな
 るので測定不能にる。
 それに対して、カーリングプローブに絶縁膜が付いてもほとんど影響なく測定ができます。その他、前出Q5、
 Q7の回答をご覧ください。
 

Q11

 参考文献・書物等、何かあるのでしょうか?

A・

 プラズマとその応用の基礎知識については、菅井秀郎著「プラズマエレクトロニクス」(オーム社、2000年)
 がお勧めです。
 また、プラズマの計測法については、プラズマ核融合学会編「プラズマ診断の基礎と応用」(コロナ社、2006
 年)等があります。
 

Q12

 カーリングプローブの知的所有権は?

A・

 特許出願済みです。
 なお、「カーリングプローブ」「オプトカーリングプローブは株式会社ノアリーディングの登録商標です。